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スタッフの伊藤です。
本日は、好んで聴いているサンバジャズ、ジャズボサに焦点を当て、いくつかの作品をご紹介いたします。
個人的にユーロ古着と60年代のブラジル音楽には、どこか共通する手触りを感じます。
アメリカ古着がその歴史的背景、つまり物語性の強さに注目されることが多いのに対し、ユーロ古着は生地や素材、縫製といった「作りの良さ」、物質的な部分に価値を見出す傾向が強いように思います。そうした作りの堅実さに裏打ちされたタイムレスな魅力や、いなたさの中に宿る洗練、都会性は、今ブラジル音楽を聴いた際に受ける印象と重なる部分があるのではないでしょうか。
雑語りが過ぎる気もしますが、こうした視点を踏まえてご紹介していきます。
それでは早速。
1.Tamba Trio
Tamba Trio(1962)

Tamba Trio - Album by Tamba Trio | Spotify
Luiz Eça - piano
Bebeto - bass,flute
Hélcio - drums,percussion
ルイス・エサを中心とするトリオによるデビューアルバム。ブラジル初のボサノヴァトリオらしいです。
ボサノヴァの繊細さを基調としながら、軽快なリズムと洗練されたコーラスワークでジャズ的な広がりを感じさせます。以降のサンバジャズやブラジルのピアノトリオの方向性を示した重要作です。
2.Donato E Seu Trio
Muito À Vontade(1962)

Muito À Vontade - Album by João Donato | Spotify
João Donato- piano
Tião Neto - bass
Milton Banana - drums
Amaury Rodrigues - percussion
ジョアン・ドナートによるピアノ・トリオ作品で、サンバジャズの最初期を代表するアルバムです。タイトルの「Muito À Vontade(とても気楽に)」が示すように、肩の力が抜けた洒脱さが全編に漂っています。これは自分に引きつけすぎかもしれませんが、楽観の中にある種の虚脱を感じるのがドナート初期作のいいところだと思います。
3.Donato E Seu Trio
A Bossa Muito Moderna(1963)

A Bossa Muito Moderna - Album by João Donato | Spotify
João Donato- piano
Tião Neto - bass
Milton Banana - drums
Amaury Rodrigues - percussion
前年のアルバムに続くトリオ作で、よりジャズ寄りの色合いを強めています。即興性が広がり、ピアノのフレーズも一段と力強さを増しています。トリオとはいうもののアマウリ・ロドリゲスのボンゴが前作以上に存在感を放ってます。ボサノヴァ的な柔らかさと、モダンジャズ的な硬さ、鋭さが調和した作品です。
4.The Bossa Tres
The Bossa Tres(1963)

The Bossa Três - Album by The Bossa Três | Spotify
Luiz Carlos Vinhas - piano
Tião Neto - bass
Edison Machado - drums
ルイス・カルロス・ヴィーニャスを中心としたトリオの代表作です。力強いピアノと、 エヂソン・マシャードの特徴的なドラムが印象的で、演奏全体に強い推進力があります。クラブの熱気をそのまま記録したような迫力が魅力です。
5.Sérgio Mendes & Bossa Rio
Você Ainda Não Ouviu Nada! (1964)

Você Ainda Não Ouviu Nada! - Album by Sérgio Mendes | Spotify
Sérgio Mendes - piano
Tião Neto - bass
edison machado - drums
Aurino Ferreira,Hector Costita - tenor sax
Edson Maciel - trombone
Raul De Souza - valve trombone
セルジオ・メンデスが若手演奏家たちと録音したアルバムです。ジャズ的な厚みを持ちながらも、ボサノヴァの軽快さを残しています。管楽器を加えた豊かなサウンドは、当時のリオのジャズシーンの広がりを感じさせます。
6.Zimbo Trio
Zimbo Trio(1964)

Zimbo Trio - Album by Zimbo Trio | Spotify
Amilton Godoy - piano
Luiz Chaves - bass
Rubens Barsotti - drums
ブラジルを代表するジャズトリオ、ジンボ・トリオのデビュー作で、端正なアンサンブルと確かなリズム感が特徴です。緻密でありながら力強い演奏は、サンバジャズをより洗練されたスタイルへと押し上げました。グループの原点がしっかりと刻まれた一枚です。
7.Tenório Jr.
Embalo(1964)

Embalo - Album by Tenorio Jr. | Spotify
Tenório Jr. - piano
José Antonio Alves,Sergio Barroso Netto - bass
Milton Banana,Ronnie - drums
Celso Brando, Neco - guitar
Maurilio, Pedro Paulo - trumpet
Edson Maciel, Raulzinho - trombone
Paulo Moula - alto sax
Hector Costita,J.T.Meirelles - tenor sax
Rubens Bassini - Percussion
テノーリオJr.の唯一のリーダー作です。軍事政権下アルゼンチンで白色テロに巻き込まれ非業の死を遂げた人物で、映画にもなっているようです。このアルバムでは大編成の中で繊細なピアノが光り、透明感のある響きを残しています。
8.Edison Machado
Edison Machado e Samba Novo (1964)

Edison Machado É Samba Novo - Album by Edison Machado | Spotify
Tenório Jr. - piano
Tião Neto - bass
Edison Machado - drums
Pedro Paulo - trumpet
Raul de Souza,Edson Maciel - trombone
Paulo Moura - alto sax
J. T. Meirelles - tenor sax
先ほどから度々出ているドラマー、エヂソン・マシャードのリーダー作です。個人的に大好きなアルバム。マシャードの破壊的な情動に溢れたドラミングが前面に出ており、聴いているだけで汗をかきそうな熱気と緊張感があります。テノーリオJr.との掛け合いも聴きどころです。
9.Dom Um Romão
Dom Um (1964)

Dom Um - Album by Dom Um Romao | Spotify
Toninho Oliveira - piano
Dom Um Romão - drums
Paulo Moura - trumpet
J. T. Meirelles - sax,flute
Rubens Bassini - percussion
後にウェザーリポートでも活躍するドン・ウン・ロマォンの初リーダー作。音から表情を描けるドラミングなのがすごいと思います。ジャズ的な即興とブラジル音楽が自然に交錯するのが魅力的です。
10.Os Cobras
O LP(1964)

O LP - Album by Os Cobras | Spotify
Tenório Jr. - piano
José Carlos - bass
Milton Banana - drums
Raulzinho - trombone
Hamilton Pereira Da Cruz - cornet
J.T.Meirelles, Paulo Moura - alto sax
J.T.Meirelles - flute
テノーリオJr.やミルトンバナナ、メイレリスにラウルジーニョと錚々たるメンバーで録音されたアルバム。演奏は自由で軽快、街の空気を感じさせる親しみやすさがあります。伸びやかなサックスやフルートが都会的な彩りを添えています。
11.Sambalanço Trio
Sambalanço Trio(1964)

Sambalanço Trio - Album by Sambalanço Trio | Spotify
Cesar Camargo Mariano - piano
Humberto Clayber - bass
Airto Moreira - drums
セザール・カマルゴ・マリアーノ率いる名トリオのデビュー作です。硬質なピアノと力強いリズムが織りなす演奏は、都会的でモダンな響きを持ちつつもサンバの躍動感をしっかりと保っています。サンバジャズを代表する傑作のひとつとして知られています。
12.Meirelles e Os Copa 5
O Som(1964)

O Som - Album by Meirelles E Os Copa 5 | Spotify
Eumir Deodato, Luiz Carlos Vinhas - piano
Manoel Gusmão - bass
Dom Um Romão, Edison Machado - drums
Roberto Menescal - acoustic guitar
Baden Powell - electric guitar
Pedro Paulo - trumpet
J. T. Meirelles - tenor saxophone
メイレリス率いるCopa 5によるサンバジャズの代表作です。ジャズ的な即興とサンバのリズムが自然に融合しており、端正ながら熱量のある演奏が魅力です。ホーンセクションとリズム隊のバランスが良く、アルバム全体にリオの街の空気感が漂います。
13.Rio 65 Trio
Rio 65 Trio(1965)

Rio 65 Trio - Album by Rio 65 Trio | Spotify
Dom Salvador - piano
Sergio Barroso - bass
Edison Machado - drums
こちらもエヂソン・マシャード率いるトリオ作品です。しっかりとしたリズムの上でピアノが力強く前進し、洗練された雰囲気を漂わせます。リオの活気を映し出すような演奏が魅力です。
14.Sambrasa Trio
Em Som Maior (1965)

Em Som Maior - Album by Sambrasa Trio | Spotify
Hermeto Pascoal – piano, flute
Humberto Clayber – bass, harmonica
Airto Moreira – drums
後に名を轟かせるエルメート・パスコアル、アイアート・モレイラらが参加したトリオ作品です。型にはまらない展開や新しいアイデアが随所にあり、聴く者を驚かせます。特にClerenice冒頭のヤケクソみたいなシンコペーションリムショットは必聴です。実験的でありながらグルーヴ感も失わないアルバムです。
15.Salvador Trio
Salvador Trio(1965)

Salvador Trio - Album by Dom Salvador | Spotify
Dom Salvador - piano
Edson Lobo - bass
Victor Manga - drums
ドン・サルヴァドールが残したトリオ作品です。落ち着いた雰囲気の中に芯の強さがあり、ベースやドラムとのやり取りも魅力的です。派手さはないものの、じっくりと味わえる演奏です。
16.Raulzinho
À Vontade Mesmo(1965)

A Vontade Mesmo - Album by Raulzinho | Spotify
César Camargo Mariano - piano
Humberto Clayber - bass
Airto Moreira - drums
Raulzinho - trombone
トロンボーン奏者ラウルジーニョのデビュー作です。伴奏にはサンバランソ・トリオが参加しており、厚みのあるアンサンブルが展開されます。若さに満ちたエネルギーが伝わるアルバムです。
17.Jongo Trio
Jongo Trio(1965)

Jongo Trio - Album by Jongo Trio | Spotify
Cido - piano,vocals
Sabá - Bass,vocals
Antoninho - drums,vocals
コーラスを取り入れたユニークなトリオです。歌と演奏が一体となり、明るく親しみやすい雰囲気を持っています。サンバジャズの中でも異色の存在といえるアルバムです。
18.Moacir Santos
Coisas(1965)

Chaim Lewak - piano, organ
Gabriel Bezerra - bass
Wilson Das Neves - drums
Geraldo Vaspar - guitar
Giorgio Bariola,Watson Clis,Peter Dautsberg - cello
João Gerônimo Meneze,Júlio Barbosa - trumpet
Edmundo Maciel - trombone
Armando Pallas - bass trombone
Dulcilando Pereira,Jorge Ferreira Da Silva - alto sax
Luiz Bezerra - tenor Sax
Moacir Santos,Geraldo Medeiros - baritone sax
Nicolino Cópia - flute
Claudio Das Neves - vibraphone
Elias Ferreira - percussion
作編曲家としても知られるサックス奏者、モアシール・サントスによる革新的な一枚です。ビッグバンド編成を活かしつつ、サンバやアフロのリズムにモダンジャズの語法を融合させ、大きいスケールを包摂しています。各曲に番号を冠したCoisaシリーズは独自の統一感を持ち、洗練と躍動を兼ね備えた名演揃い。サンバジャズを越えたブラジル音楽の金字塔といえる作品です。
19.Milton Banana Trio
Balançando(1966)

Balançando Com Milton Banana Trio - Album by Milton Banana Trio | Spotify
Cido Bianchi - piano
Mario Monteiro - bass
Milton Banana - drums
ミルトン・バナナが率いるトリオ作品です。軽快で明るいリズムが全体を引っ張り、ピアノとベースの自由な演奏を支えています。日常の中で気軽に楽しめる心地よさを持っています。
20.Som Tres
Som Tres(1966)

1966 - Album by Som/3 | Spotify
César Camargo Mariano - piano
Sabá - Bass
Antoninho - drums
Sambalanco Trioのセザル・カマルゴ・マリアーノがJongo trioのメンバーと合流して立ち上げたトリオのデビュー作です。若さと勢いに満ちており、ジャズとポップな感覚が自然に混ざり合っています。のちの活躍を予感させるスタートとなる作品です。
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まだまだご紹介したい作品はございますが、本日はこのあたりで失礼いたします。
7階にはginza recordsというレコードショップさんもございますので、ファッションと音楽の両面からショッピングをお楽しみいただければ幸いです。




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