いつも当店をご利用いただき、誠にありがとうございます。
スタッフの伊藤です。
本日のブログは普段と少し趣向を変えて、色々と分かりづらい服の部位の名称やなんやかんやについて、勉強も兼ねて解説していこうと思います。

では早速パンツから。

〜60's
VAUTOUR
BLUE
COTTON TWILL
PANTS
〜60's VAUTOUR BLUE COTTON TWILL PANTS DEAD STOCK | STRAYSHEEP ONLINE
先日オンラインに載せたてのこちらの商品で解説させていただきます。

まずは腰回りから。
こちらはボタンフライの仕様になっていますね。
そもそも何故ウエストの前開きの部分をフライと呼ぶのかについてですが、
なぜ、「フライ(比翼)」と呼ぶのかというと、前開きとなる部分が比翼仕立てという仕立て方になっているからです。
比翼仕立てとは、表からボタン穴やボタンが見えないように、ボタン留めの部分を二重合わせにしたものです。
鳥が翼を休める形に似ていることからこう呼ばれ、レインコートなどでよく見られます。
ジャケットやコートでよく聞く比翼と同じ意味だったんですね。知りませんでした。
生地の重なりを鳥の翼に見立てるなんて洒落てますね。

続いてはトップボタン。デニムだとタックボタンとも呼ばれるようです。
普通のパンツより長めの腰帯についた二連ボタンが特徴的。この長めの腰帯は持ち出しと言います。腰回りのフィット感を高める狙いがあるそうです。
そのまま履くと若干ウエスト厳しい!ぐらいの人は一個ボタンずらせば履けますもんね。なるほど合理的な仕様です。

続いてはベルトループ。こちらは古めのフレンチで見かける台形のループになってます。
ベルトの保持力は一般的な細長いループより高そうですよね。時代の変遷の中で簡略化されていったのでしょうか。

続いてはタック部分。この個体のタックは若干ダーツが伸びた後につくスラックスっぽいタイプです。
前見頃の生地を折りたたむ事でヒップやももまわりにゆとりをもたせ、快適性を上げるのが目的のディテール。
生地の折り込みが内側か外側かで名称が違い、それぞれインタック、アウトタックと言います。
一般的にはインタックがフォーマル、アウトタックがカジュアルな印象を持つとされています。
続いてはヒップポケット。フレンチワークで両玉縁のポケットはあまり見かけないと思います。
玉縁とは布の端を別の布でくるんで縁取る方法で、ほつれを止めるためや、単なる装飾のためにも行われます。
片方だけ縁取られたものを片玉縁、両方縁取られたものを両玉縁と言います。
布を縫い付けて留めただけのパッチポケットよりは明らかに手間の込んだつくりですね。

これがパッチポケットです。これはこれで財布とか入れやすくて好きです。
続いては太もも部分のこちら。ツールポケットやスケールポケットと呼ばれる細長いポケットです。
定規や金槌などを入れていたそう。ファッションユースの中での実用性は皆無ですが、付いてると嬉しいやつです。

お次は股下。古いものらしくガゼットクロッチ仕様です。股下部分にひし形のマチを作る事で可動域を広げたものです。patagoniaやgramicci辺りのアウトドアブランドで時々見かけるディテールです。
生地はデッドストックらしく張りのあるツイル地。
綾織はシワになりにくく伸縮性に優れる特徴があるらしいです。ワークパンツに使われるのも納得です。
デニムやギャバジン、サージなども綾織の一種。
他にも、皆様もご存知の通りイギリス軍の畝の立った独特なツイル地はドリル生地と呼ばれていますね。
お次はジャケット。

OLD
LINEN
TAILORED JACKET
MADE IN ITALY
ライトベージュのリネンテーラード。
そういえば背広の語源がサヴィル・ロウというのはガセだったらしいですね。

背面にはサイドベンツが入ります。

背面の裾に入る切り込みをベントといいます。英語で通気口という意味。
いくつか種類があり、このジャケットのように両脇に一本ずつ切り込みが入るサイドベンツの他にも、

中央に一つ切り込みが入るセンターベント、

切り込みの入らないノーベントの三種類が一般的です。
切り込みが一個あるか二個あるかだけの違いなので、何となくルーツは同じところにあるのかなと思っていましたが、全く違うところからそれぞれ派生して現在の形に落ち着いたようです。
センターベントは乗馬する際動きやすいようにジャケットの背面に切り込みを入れたのが始まりで、サイドベンツは軍人が帯剣した時に剣が綺麗に収まるよう両脇に切り込みを入れたのが由来。
別の角度から似たようなアプローチに収斂していくのは楽器や生き物の進化でも起こっていて、普遍的な合理性みたいなものを感じます。

ライトな平織生地。
平織は織物の中でも最も基本的な織で、丈夫で摩擦に強いのが特徴です。
ポプリンやダック、シャンブレーなどが有名ですね。
皆大好きベンタイルも平織です。
糸の太さや打ち込む密度で大きく印象が変わるのが面白い織だと思います。

続いて胸周り。この辺りは固有名詞がたくさんあってややこしいです。
襟の下側部分をラペルと言います。上側部分がカラー。この繋ぎ目がゴージラインと呼ばれており、高いとスリムに、低いとゆったりとした印象になるそうです。

こちらは定番のノッチドラペルタイプ。
他によく見かけるものとしてはピークドラペルがあります。

ラペルの先が上向きに詰まっている襟型。ダブルブレストのジャケットなどで採用されていることが多いです。

フラップ付きのポケット。フラップは屋内ではしまうのがマナーとどこかで聞いたことがあります。
それと関連してか、テーラードのポケットはフラップのつかないタイプが最もフォーマルであるとされているらしいです。

袖はプレーンな開き見せ。ボタンホールが開かないフェイクのディテールで、刺繍をほどけば袖ボタンの位置を移動させられるため、袖丈の調整が比較的しやすいという利点があります。
カジュアルな筒袖のタイプもあります。ボタンやボタンホールなどのつかない筒型の袖で、ロールアップしやすくて個人的には好みです。
ちゃんとボタンの取り外しが出来るものもあり、本切羽と呼ばれています。一番手の込んだつくりです。第一ボタンだけ開けてこなれ感を演出したい時などはうってつけです。

最後は内側。
こちらはお台場仕立てと呼ばれるものです。
内側ポケットの周りを生地で囲う仕立ての事で、内ポケの周りが突き出る分、生地を余分に使う必要がある贅沢な仕様です。
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本日はこのぐらいで。当店のお客様には釈迦に説法もいいところだったかと思いますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
入荷したものの中で紹介できていない商品も店頭多数ございますので、明日も皆様のご来店お待ちしております!